今回紹介するのは、大阪府泉佐野市日野原に位置する「慈眼院」の境内に立つ「一本桜」の名桜「姥桜(うばざくら)」です。
「慈眼院」の境内と、隣り合わせで隣接する「日根神社」の参道とのあいだの植え込みに立つ、推定樹齢400年以上と言われる「慈眼院の姥桜」は、サクラ類中最も寿命が長く、大木になると言われる「ヒガンザクラ」の種類の老木となります。
「慈眼院の姥桜」は、樹高が約13メートルあり、根回りに関しても約3メートルあるのですが、主幹の内部は空洞化が進んできており、枯死も危ぶまれる状態ですが、地上約3メートルほどのところより、新しい3本の新樹幹が伸びることで、現在に至っても樹勢は衰えることなく、毎年のように満開に花びらを咲かせています。
元禄三年となる1680年の古絵図に見られる樹形から、空洞化が進んでいる主幹に関しては「樹齢400年を越える!」と、推測されているのですが、新たな3本の新樹幹に関しては、100年~150年ほどの樹齢であると言われます。
大阪府随一のサクラの古木となるのですが、昭和45年2月20日には「慈眼院の姥桜」として、大阪府が指定する「天然記念物」のひとつに選ばれました。
「慈眼院」は、日本を代表する空の玄関口「関西国際空港」がある泉佐野市の、ほぼ中央に位置する「日根野の地」に鎮座する古寺となるのですが、伝承によれば、天武天皇2年となる673年に「日本」を国号とした最初の天皇の勅願寺として「井堰山願成就寺 無辺光院」の名で、特別な資格を有する高位の僧侶の称号「阿闍梨(あじゃり)」を得た「覚豪」により開創されました。
奈良時代の天平年間には「聖武天皇」の勅願寺となり、寺領1千石が加増されたと言い、その後、弘仁6年となる815年には「空海」すなわち「弘法大師」によって「多宝塔」や「金堂」をはじめとする諸堂が再興されたと伝わるのですが、南北朝時代となる1353年に、戦火を受け「後村上天皇」と「後亀山天皇」の勅命により再興されるも、天正13年となる1585年には、再び「豊臣秀吉」の「根来寺攻め」の兵火を受けて「金堂・多宝塔」を除いた全山が焼失したと言います。
慶長7年となる1602年には「豊臣秀頼」によって、伽藍の再興が始められ、寛文年間になると岸和田藩の藩主「岡部氏」により修復が行われ、寛文5年となる1665年になると、中之坊が仁和寺の性承門跡から、現在の院号となる「慈眼院」を賜ったことで、仁和寺の末寺となりました。
戦火の被害を受けなかった「多宝塔」は、現在では「石山寺塔」及び「金剛三昧院塔」と共に「日本三大多宝塔」のひとつと称されるのですが、屋外にある木造多宝塔で「国宝・重要文化財」に指定されているものの中では、日本最小のものとなるほか、大阪府では数少ない「国宝」のひとつとなります。
そんな、由緒のある古寺「慈眼院」の境内に立つ「姥桜」の紹介となります。
準備が整いましたら「慈眼院の姥桜」の、散策スタートです。
慈眼院の姥桜~大阪随一の樹齢を誇る名桜【アクセス・駐車場】
寒い冬が終わり、徐々に温かみを帯びてくると「桜」の「お花見シーズン」となり、日本の「国花」と言っても過言ではない「桜」の開花が各地で始まり、淡いピンクに染まる木々を目にすると、自然と心が弾んできます。
「桜」の楽しみ方は、人それぞれとなり、ほんのわずかな時間だけ、満開に咲き乱れる桜の花を楽しむため、日々の疲れも忘れて、全国各地へと「桜」の「お花見」に出かけます。
管理人である「ヒロ兄」の「桜」の楽しみ方は「一本桜」を好んで、観賞に出かけます。
お勧めの一本桜の記事は後ほどコチラをご覧下さい!
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今回紹介する「一本桜」は、大阪府泉佐野市日野原に位置する「慈眼院」の境内に立つ、推定樹齢400年の名桜「姥桜」です。
「桜」の「お花見」を楽しむにあたり、毎年の悩みとなるのが「桜の見ごろ」に関してですが、お目当ての「桜の木」が、今まさに「満開!」と言う、タイミングで訪れるのは、本当にむつかしいと悩みます。
遠方まで出かけて「早かった!」や「遅すぎた!」は、よくあることで、満開かどうかは、訪れてみないと分かりません!
しばしば、残念な結果で終わることがあるのですが、それもひとつの「お楽しみ!」と考えて、出かけるようにしています。
まず初めに「慈眼院」を訪れるための「アクセス」と「駐車場」に関して、簡単に紹介しておきます。
慈眼院へのアクセスは良好です!
「慈眼院」へのアクセスに関しては「公共交通機関」を利用して訪れても「マイカー」を利用して訪れるにしても、比較的簡単に訪れることができます。
まず初めに「マイカー」で訪れる場合ですが「最寄りの高速道路」となるのは「阪和自動車道」となるのですが「大阪方面・和歌山方面」共に「阪和自動車道」の「泉佐野JCT」より「関西空港自動車道」に入ってすぐにある「上之郷IC」の料金所を出ることになります。
降りてすぐにある「上之郷インター前」の信号を左折して「国道481号線」に入り、すぐにある「上之郷南」の信号を右折したら、少し先にある「机場」の交差点を右折して「府道248号線(日根野羽倉崎線)」に入ります。
しばらく走り進めた先の突き当りを右折したあとは、約500メートルほど走り進めた先の右手側に「慈眼院」の「無料駐車場」があります。
「上之郷IC」を降りてからは、2kmほどしかありませんので、約6分で行くことができる気軽さです。
続いては「駐車場」に関してですが「慈眼院」には「無料」で利用できる「駐車場」が用意されています。
駐車台数に関しては、駐車区画のための線引きなどがありませんので、実際のところ何台ぐらいの車が駐車できるかはっきりと分かりませんが、10台~15台ほどは駐車できる広さはあります。
利用可能時間に関しては、特に決まりが無く、24時間出入りは可能ですが「慈眼院」が、朝の8時00分~夕方の17時00分までとなることから、時間外に関しては「無断駐車」になるかと思いますので、お気を付けください!
最後に「公共交通機関」を利用して行く場合ですが「最寄り駅」となるのは「阪和線」の「日根野駅」となるのですが、徒歩で向かう場合でしたら、2.3kmほどありますが30分ほどで行くことができます。
また「南海電鉄」を利用すれば 「泉佐野駅」となりますが、徒歩で向かうには少し距離があるため「南海ウイングバス南部(犬鳴山線)」に乗車することになりますが、上記で紹介した「阪和線」の「日根野駅」も道中の「停留所」となります。
あとは「東上」のバス停留所で下車するだけとなるのですが、すぐ目の前が「慈眼院」の「無料駐車場」となりますので、歩く必要なく「慈眼院」へと入ることができます。
また「南海ウイングバス南部(犬鳴山線)」の運行に関しても「平日・土曜日・日曜日・祝日」のいずれも、1時間に一本ほどは走っていますので、特に問題は無いかと思います。
以上が「慈眼院」を訪れるための「アクセス」及び「駐車場」の紹介となります。
主幹樹齢400年と3本の新樹幹樹齢150年以上の姥桜
4月に入ったことで、蕾(つぼみ)だった大阪府の桜の木々の開花が一斉に始まり、色鮮やかなピンクに染まる景色へと一変していくのですが「さて、今年はどこのお花見に出かけるか?」と、すこし悩みます。
基本的には「同じスポットでのお花見は避けている!」と言うこともあるので「人気のお花見スポットは、ほぼ行き尽くした!」と言う点から「穴場のお花見スポット!」を探すのですが、意外と大変な作業となります。
僅かな期間しか楽しめない桜のお花見であることに加え「穴場のお花見スポット!」となると、開花状況などの情報なども少ないので、とりあえず行ってみないと、状況は分かりません!
今回は、大阪府泉佐野市に位置する「慈眼院」を選択したのですが、お寺としての由緒に関しては、大変に古くから鎮座する古寺となり、多くの方が知る寺院となるのですが、境内に立つ「姥桜(うばざくら)」と呼ばれる「一本桜」の名桜は、多くの方が知る桜の木とはなりません!
さて「慈眼院」の無料駐車場に車を止めたところで、早速にも「姥桜」の観賞に向かいたいと思うのですが、駐車場より歩きだしてすぐに「鐘楼」があるのが目に入ります。
「鐘楼」に向かって左手側に進むと、すぐに「慈眼院」の境内へと入ることができるのですが、出入口には小さな鉄製の門があるだけで、基本的な寺院には必ずある「三門」はありません。
「鐘楼」自体も、境内の外にあるのも不思議な感じですが、ひょっとすると大昔はもっと大きな寺院で、長い歴史の中で、境内自体が縮小されたのではないかと推測されます。
小さな鉄製の門より一歩中に入れば、目の前に「本堂」があるのですが、ここでは「姥桜」の紹介がメインとなりますので、中には入らず、まずは「鐘楼の裏手!」に、回り込むように歩き進めて行きます。
「鐘楼」の裏手側に行くとスロープ状の下り道があり、10メートルほど進むと砂利が敷かれた道があるのですが、この道は隣接する「日根神社」の参道となります。
そんな「日根神社」の参道を左手側に曲がったら、すぐに朱色の大きな鳥居があるのですが、その横に「慈眼院の姥桜」はあります。
「慈眼院」の境内と「日根神社」の参道にある鳥居のあいだの植え込み部分に「慈眼院の姥桜」が立ち尽くす形となりますので、非常にわかりずらいです。
少し高さがある植え込み部分となるほか、余計な木々や雑草が生い茂っているため、非常に観賞しにくい状態となっています。
「慈眼院の姥桜」は、サクラ類中最も寿命が長く、大木になると言われる「ヒガンザクラ」の種類の老木となるのですが、推定樹齢400年以上と言われています。
樹高に関しては、植え込み部分に高さがあるため、かなりの大木に感じますが、約13メートルほどしかなく、根回りに関しては約3メートルあると言うのですが、主幹の内部は空洞化が進んできており、枯死も危ぶまれる状態となります。
しかし、ちょっと珍しい樹姿となり、地上約3メートルほどのところより、新しい3本の新樹幹が伸びていることで、現在に至っても元気に育っていると言います。
草木が生い茂っており、根周りは全く見えませんが、枝分かれする新樹幹はかろうじて見ることができます。
元禄三年となる1680年の古絵図に見られる樹形から、空洞化が進んでいる主幹に関しては、樹齢400年を越えると推測されているのですが、3本の新樹幹に関しては、おおよそ100年~150年ほどの樹齢であると言われます。
樹齢400年を越えることから、大阪府随一のサクラの古木となるのですが、昭和45年2月20日には「慈眼院の姥桜」として、大阪府が指定する「天然記念物」のひとつとなっており、それを記念するかのように「慈眼院の姥桜」と刻まれた標石も、傍らに立てられています。
先ほども言いましたが、植え込み部分に高さがあり、まじかで見ることはできませんが「姥桜」の花びらは、白に近い淡いピンクのように見え、枝張りに関しても大きく広がるわけではなく、細くそして長く、天に向かって伸びていく樹姿となります。
「一本桜」と言えば、樹齢が数百年と言う古木が多く、360度どの方向からも樹姿を観賞できることで、乗り越えてきた長い時間によって形成される、味わい深さを感じることができるのが醍醐味のように思うのですが「慈眼院の姥桜」に関しては、ちょっと残念なようにも思います。
ただ、良くも悪くも、色鮮やかな朱色の鳥居が、今までとは少し違ったアクセントになって観賞できる点では、良いのかもしれません。
「お弁当を片手にお花見!」とはいきませんが、樹齢400年と言われ、大阪府が指定する「天然記念物」となる「慈眼院の姥桜」は、なかなかに見ごたえのある名桜であったと思います。
尚「お弁当を片手にお花見!とはいきませんが・・・」と、上記で言いましたが「日根神社」の参道を「本殿」のほうに進み、さらに奥に歩き進めて行った先に「大井関公園」と言う、桜の木々が立ち並ぶ「人気のお花見スポット!」があります。
そんな「大井関公園」のお花見も兼ねるのでしたら、お弁当を片手にお出かけになるのも良いかもしれません!
「大井関公園」に関しては、また別の記事にて紹介したいと思いますので、ご興味のある方はそちらをご覧下さい!
慈眼院のアクセス及び駐車場情報!
【基本情報】
*基本情報は、できる限り新しい情報を掲載することを心掛けていますが、すべての変化に対応できないのが現状となりますのでご了承ください。
「慈眼院」
- 住所:〒598-0021大阪府泉佐野市日野原626
- 電話:072-467-0092
- 時間:朝の8時00分~夕方の17時00分まで
*「姥桜」の観賞に関しては散策自由です! - 定休日:年中無休
- 観覧料:無料
*多宝塔に関する拝観は別途必要です(要予約) - 駐車場:無料(約15台)
- アクセス:【公共交通機関】「阪和線」の「日根野駅」から徒歩2.3km(約30分)
「南海電鉄」の 「泉佐野駅」または「阪和線」の「日根野駅」から「南海ウイングバス南部(犬鳴山線)」に乗車し「東上」のバス停留所で下車してすぐ
【お車】「大阪方面・和歌山方面」共に「阪和自動車道」の「泉佐野JCT」より「関西空港自動車道」に入ってすぐにある「上之郷IC」の料金所を出てすぐにある「上之郷インター前」の信号を左折して「国道481号線」に入りすぐにある「上之郷南」の信号を右折したら少し先にある「机場」の交差点を右折して「府道248号線(日根野羽倉崎線)」に入りしばらく走り進めた先の突き当りを右折してあとは約500m走り進めた先の右手側に「慈眼院」の「無料駐車場」があります2km(約6分)
最後までお付き合いいただき本当にありがとうございます。
「慈眼院の姥桜」は、大阪随一と言われる桜の古木となり、大阪府が指定する「天然記念物」となります。
隣接する「日根神社」の参道に立つ、色鮮やかな朱色の鳥居の横に立ち、今までとは少し違ったアクセントをつけて観賞できる点が見どころとなります。
桜の「お花見スポット!」としては、それほど知られていませんが、知る人ぞ知る「一本桜」の名桜となりますので、是非一度訪れて、味わい深い樹姿をご堪能ください!
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